ギャップしおりん
アナウンスが私の降りる駅名を告げる。
私は、その声に操られるように電車を降りた。
「3組の栞里ちゃん可愛くね?」
「それ思った。学年1じゃね?可愛い過ぎだろ。マジ彼女にしたいんだけど」
声のする方へ視線を向けると、私と同じ制服をだらしなく着こなしている男たち。
…1番関わりたくない人種。
私は見つからないように、鞄で顔を隠して改札口を出た。
ほんと憂鬱。
昔から近付いてくる男はみんな私の顔目当て。
めちゃくちゃいい迷惑だ。
私の本当の性格知らないくせに。
* * *
「栞里おはよー!」
翌朝。駅のホームで電車待っていると背後から声がした。
振り向くと、里佳が笑顔で立っていた。
里佳とは幼なじみだったりする。
「おはよっす。
てか、昨日何で声掛けてくれなかったんだよ」
「だって邪魔しちゃ悪いじゃん。しかも、岡崎くんは他の男とは違うと思ったしね」
そう言いながら、里佳は八重歯を見せながらニヤッと笑った。