ギャップしおりん
「いい加減ノートぐらい自分でとりなよね。授業もろくに聞いてない、ノートとってない、なのに成績優秀とか腹立つわ」
「アバウトオンリーで生きてますから」
先生は呆れたのか、私にはいつしか注意しなくなった。
一応学年10番以内にはいってるから何も言わないんだろうけど。
「水谷」
弁当の最後の一口を放り込んだ時、誰かが私を呼んだ。
私は無視して里佳からノートを借り、黙々と写し始める。
「しおりん呼ばれてますよ」
里佳が耳打ちしてきた。
…またかよ。
と、心の中で思う。
「水谷なんて日本中にいっぱい居るから私じゃないよ」
「どっからそんな屁理屈が出てくるのよ」
私は渋々、声の主の方を見た。立っていたのは、岡崎だった。
「やっと気づいた」
いや、気づいてましたけども。わざと無視してたんすよ。
「で、なんすか?
私はノート写すのに必死なんだからさっさと用件済まして」