ギャップしおりん
「俺と水谷に一週間川嶋の雑用係しろって川嶋が言ってた」
「はぁ!?冗談でしょ…私、バイトあるからパス」
普通にありえないっすから。
なんで川嶋の雑用しなきゃなんないの。
「えっ、栞里ってバイトしてなくない?」
里佳!
余計な事を…
逃げる口実がなくなったではないか。
「て、事でよろしく。今日の放課後からだって」
岡崎はそれだけ言うと、教室から出て行った。
思わず舌打ちした。
「こらこら、女の子が舌打ちしない。てか、お近づきのチャンスじゃん。初恋するなら今だ!あの天然紳士の岡崎くんに恋するべき」
「なにひとりで熱くなってんの。マジないからね、恋とかしなくていいっす。そんなに岡崎の事絶賛するなら里佳が好きになれば?」
愛だの、恋だのめんどくさい。どうせ別れが来るし、永遠の愛なんてないんだし…
「ノンノン♪あたしは聖さん一筋だもーん」
聖とは、私の2個上の兄貴。
里佳は聖にマジだったりする。
5、6時間目を真面目に受け、帰りのホームルームが終わるとみんな勢いよく教室から飛び出して行った。
「じゃあ、岡崎くんと頑張ってね。あたしは帰ります!」
里佳は笑顔でそう言うと、みんなの流れに乗って教室から出て行った。
私もこっそりと帰ろう。
こそこそと荷物をまとめて、教室から一歩足を踏み入れた瞬間、誰かに肩を掴まれた。
「逃げる気?」