恋愛至上主義[短編]
恋愛至上主義
Kanae
「ねー、明日何処行く?」
「あー…明日仕事。」
観光雑誌をペラペラ捲りながら聞いたのに、返ってきた返事は《仕事》。
「…また、ドタキャン!?約束したじゃん!」
「しょーがねーだろ?仕事は。」
うるさい、そういうような顔で私を睨む、彼の名は島谷慎。25歳、職業美容師。
しょうがないって…
慎、この前もそう言ってデート、ドタキャン。
今回で何回目?
「せっかく楽しみにしてたのに。」
「今度、どっか連れてってやるよ。」
今の言葉も何回目?
その約束も果たされたためしがない。
「なあ、佳苗、拗ねんなよ」
「あーうるさい!」
こんな彼氏の一応彼女。
私、長島楓。22歳、職業、普通のOL。
だってさ、
慎がこの日なら開いてる、そう言ったからこの日に休みを入れたんだよ?
なのに、ヒドイ!
パタンと本を閉じてお風呂に向う。