恋愛至上主義[短編]
慎に少しでも可愛いって言ってもらいたくて買ったワンピース。その出番が弟とだなんて…。
「あー!もうやけくそ!!」
化粧もバッチリ、おまけに髪も巻いてやった。
「ふんっ」
鏡の前に立って全身チェック。
…結構イケるじゃん。
パンプスに足を入れ、待ち合わせである駅に向った。
「姉ちゃん、何処行く気?」
「うるさいよ。で?アンタは何処行きたいの?」
幸人は外見、カッコイイ部類に入るらしい。
まあ、背は高いし顔はパパ似。
背なんか、ついこの前まで私のほうが高かったのに!
「服見たい。」
「いーよ。」
何処の店なのか分からない私。
幸人が歩く方向に合わせ、足を動かす。
「姉ちゃん、彼氏とは上手くいってんの?」
「えー…?微妙?」
何それ、そう笑った顔は本当にパパそっくり。