恋愛至上主義[短編]
きっと慎はもう帰ってきている。
会うの気まずい…
「ただいまー…」
ゆっくりとドアを開く。
慎の靴があることを確認。
やっぱり、いるよね…。
「…遅くね?」
ビクッ
靴を脱ぐためにいったん背中を向けた、その瞬間に掛けられた声。
肩がビクっとした。
「そ、そうかな?慎は早いね?」
「……ちょっと来いよ。」
「へ?」
笑ったつもりだった。
でも慎の顔は逆に怒っていた。
腕をつかまれ、無理やり家の中に連れ込まれる。
「…何処行ってた?」
「ど、何処?服見てきただけだよ?」
肩をつかまれ、身動きが取れない。
「んな、お洒落して?髪なんて巻いて?」
「こ、これは…」
全部、本当は慎に見てもらいたかった。でも、いないから、幸人に見せびらかしたかった、ただそれだけ。
グイっ
肩の手に力が入った。
「…アイツは?新しい彼氏?」
「…アイツ?」
幸人…のこと?
思い当たるのは幸人しかいない。
「あ、あれは…」