蕾~桜の木の下で~
*その日の放課後*

憧れの彼女に話し掛けられて有頂天になっている俺は、さっそく浩介に自慢しようと、
いつもの待ち合わせ場所に向かう。


「おっ!!いいじゃんココ。」

ご機嫌な浩介。

「綺麗に小学校が見えるなぁー。」

「ココにしようぜ、俺たちの秘密の場所。」

「おう!!」

こうして俺たちは、学校のグラウンドにある木の上で待ち合わせを始めた。
今考えてみると馬鹿だ。ていうか、俺と浩介はほとんど馬鹿だ。
でも、その頃は小学校上がりたてだったし、
世の中の男って、これぐらい馬鹿なんじゃないかって思う。
だから、俺はこの場所が大好きだ。

今でも浩介とはその待ち合わせ場所で待ち合わせをしている。


...その日の放課後は、靴を履くまではいつもと一緒だった。
でもグラウンドが見えた瞬間、俺は動けなくなった。


だって、そこにいたのは浩介ではなく、“先輩と彼女”だったからー。
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