蕾～桜の木の下で～
高すぎない声でもっと聞いていたかったけれど、彼女は手短に自己紹介を終わらせた。

...まぁ、中学校の自己紹介なんてこんな長さだろ。
俺も緊張していたから、自己紹介の時はこれくらいしか覚えてない。

緊張して席までしてしまう彼女が可愛くて、自分の番が終わってホッとしている顔がもっと近くで見たくて（自分の名前がさ行だったら良かったのにな。）
三倉家に生まれたことをちょっとだけ後悔した。


彼女の自己紹介から20分程が経ち、俺の自己紹介の番。

「次、出席番号37番　三倉　彼方」

「はいっ!」

勢いよく立ち上がる。
...今思えば、はりきり過ぎだったかな。

「出席番号37番
三倉　彼方です。木の下○小学校から来ました。

趣味は歌を歌うこと、
部活は...何部に入ろうか迷っています。
でも体を動かすことが好きなので、
運動部に入ろうかと思っています。

よろしくお願いします。」

サッと席に座る。
座る時に一瞬だけ唯の方を見たけど、

目は合わなかった。
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