蕾~桜の木の下で~
あのスキだらけの文字は絶対、朝倉先輩宛にだ。

薄くてしっかりとはわからなかったけど、確かに唯の字―。


≪先輩が私の日常にいなくなったら、どうなるのかなって...考えてみたけど、どうにもならなかった。
           トキ
ただ、色のない瞬間が通り過ぎるだけ。

もう、戻って来ないの?
“私の”じゃあ、ないの?

信じられないよ。
あんなに強く、抱き締めてくれたのに。
色んな感情を、「恋っていいな。」って気持ちを教えてくれた人なのに。
晴斗先輩なら、良いと思ったのに。


優しくて、暖かくて、男らしくて、大好きな、晴斗先輩。

話だけでも、させてよ。
既読になってるくせに、なんで返してくれないの?
電話に出てよ、私のトコに迎えに来てよ。

はるとせんぱい。≫





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