蕾~桜の木の下で~

...今思えば、あの時が告白したらよかったタイミングなのかもしれない。

でも唯の顔には、“ほんものの笑顔”の面影はなかった。
さっきのも思いっきりって訳じゃなさそうだったし。

それに、
号泣したのがわかるほど目は腫れてた。


「もう!」

唯が、ため息を吐く。

うっとりしている場合じゃないのに...長い睫毛に鼓動がうるさい。

「...ど、どうしたの?」

「...ね、かなくんつきあって。」

「...ぇ?」

俺はすっとんきょうな声をだし、ものすごく間抜けな顔をしていた。
カッコわりぃ。

自分でも思い出せないのだけれど...その時俺はあたふたと歩き回っていたみたいだ。
(なんか声掛けた方が良いのかな)
と思いつつ、
泣きはらした目にショックを受けつつ...

「...つ、付き合う?」

脳内が一瞬にしてピンクに染まる。

< 41 / 47 >

この作品をシェア

pagetop