蕾~桜の木の下で~
...今思えば、あの時が告白したらよかったタイミングなのかもしれない。
でも唯の顔には、“ほんものの笑顔”の面影はなかった。
さっきのも思いっきりって訳じゃなさそうだったし。
それに、
号泣したのがわかるほど目は腫れてた。
「もう!」
唯が、ため息を吐く。
うっとりしている場合じゃないのに...長い睫毛に鼓動がうるさい。
「...ど、どうしたの?」
「...ね、かなくんつきあって。」
「...ぇ?」
俺はすっとんきょうな声をだし、ものすごく間抜けな顔をしていた。
カッコわりぃ。
自分でも思い出せないのだけれど...その時俺はあたふたと歩き回っていたみたいだ。
(なんか声掛けた方が良いのかな)
と思いつつ、
泣きはらした目にショックを受けつつ...
「...つ、付き合う?」
脳内が一瞬にしてピンクに染まる。