蕾~桜の木の下で~
挨拶をしただけなのに笑ってる俺が
彼女には理解できなかったみたいで、

唯はさらに不思議そうな顔をした。

そのなんとも飾らない姿に、
俺はさらに笑ってしまう。

「...なんで笑ってるの?」

...ハッ!!
いきなり笑ってるなんて失礼じゃないか。
しかもろくに挨拶も返せてないし。

「おはよう!!」

慌てて挨拶をした。

「うん。ねぇ、だからなんで笑ってるの?」

「あ、気にしないで!!
 関係のないことだから。」

「...うん?」

唯のきょとんとする姿が可愛くて
笑ってしまったなんて...

俺がたとえ生まれ変わったとしても
言えない。

「あ、それより、どうしてよろしく...?」

「えっ!!...見てないの?」


よし、上手く話題をそらした!!

「見てないって何を...?」

すると、彼女が真っ直ぐ指を指した。

...黒板?

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