囚われの歌姫
「つか、梨亜さ、お前入試何点だったんだ?」
「…………推薦だったし…」
「推薦のテストは?」
「………三教科で、290だった……」
「相変わらず頭はいいのな。……体はこんなちっさいのに、どこに入るんだ?」
ちっさい言うな。
ギロリと睨むと、また面白そうに笑う。
いつも笑えば許すと思うなよ……。
そう思いながら階段を上っていくと、ざわめきが大きくなってくる。
階段を上った先には沢山の新入生がクラス名簿の前でたむろっていた。女子男子共に。
……あんまり賑やかなのは好きじゃない。
私は颯人に隠れる様にして、クラス名簿が貼られているところに行く。
「……そんなに人苦手か?」
「苦手じゃなくて、嫌い」
「俺は?」
「…………アホ」
考えて、出てきた言葉がこれ。
颯人は苦笑して、私の頭にポン、と手を置いた。
これしか出てこなかったんだ、仕方ない。