囚われの歌姫
一旦、荷物を置きに教室に行く。
だから颯人とはお別れ。
女の子達が狙ってたから話しかけられたりとかしてるんじゃないかな。
……寂しいとか思ってたりしてないし。
割り当てられた席に取り敢えず腰を下ろす。
出席番号とかないから割り当てかたはよく知らないけど。
入学式とかめんどくさいなー……、私寮だし帰りは何処にも寄れないな。
颯人も寮だったっけ……?
など考えていると、元々私より先に座っていた前の席の子が振り向いた。
「……っわ、可愛い子」
可愛い……?
誰が。
首を傾げると、何故だか両手を握られた。
「っ、え?」
それは何だか、今から一生をー誓い合う姿に見えて。
体を仰け反らせるのは仕方ないと思う。
「私、七篠 文音(ナナシノ アヤネ)。よろしく」
「よ、よろしく?」