妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
 そのまま踵を返そうとしたとき、不意に人の気配を感じ、そはや丸は顔を上げた。
 また降ってきた雪の向こうに、人影が見える。

---弔いか?---

 にしては人数が少ない。
 確認できる人数は、僅かに二人だ。
 荷物を提げている風でもない。

 そはや丸は、ちょっと考えた。
 ここは葬送の地だ。
 弔い以外で足を踏み入れることがあるのは、僧か、盗人ぐらいなものだ。

 もしくは人にあらざるもの。
 妖であれば、同類であるので別に良いが、ヒトであった場合は、このようなところで会うのは厄介だ。

 かといって今更身を隠す暇もないし、そもそもそんな、こそこそする気など毛頭無い。
 面倒だから、有無を言わさずぶった斬ってやろうか、と思っていると、影の一つが声を上げた。

「そはや丸殿」

 その声に、そはや丸の片眉が上がる。
 影は安心したように、そはや丸に近づいてくる。
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