妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「ヒトの男が、ヒトの女子に言う意味と同じか?」

「・・・・・・何だと?」

 僅かにそはや丸の目が見開かれる。

「私だって、それぐらいは知っている。お前もヒトの男と同じように、私を求めるのか」

「そうだと言ったらどうする。それこそが、お前の最も嫌う行為だろう」

 そはや丸は、呉羽の腕を掴んだ手に力を入れる。
 あまりの力に、呉羽の骨が軋んだ。

「何故お前までが、そんなことをしたがるんだ。お前はそういう感情すらないモノではないのか?」

「そうだ。俺は感情も命もない、ただのモノだ。今まではな。こんな感情は、俺だって初めてだ。どうしても、お前を俺のものにしたい」

 光る瞳でそう言うと、そはや丸は、ぐいっと呉羽を引き寄せた。
 乱暴に、抱きしめる。

 熱い、と思った。
 体温はないはずなのに、そはや丸の身体は、燃えるように熱い。

「こういうことでしか、お前の気持ちがわからない。お前は鈍いからな。俺の気持ちだって、わからないだろう。ヒトと同じような行動をしないと、伝わらない」

 呉羽はそはや丸の腕の中で、彼の告白を聞いていた。
 考えつつ、口を開く。

「それをしたら、私の気持ちがわかるのか?」
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