妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
 呉羽を抱きしめる力も緩まない。
 強い力で呉羽を抱き寄せたまま、そはや丸の手が、呉羽の衣を押し広げた。

 呉羽の左肩から、衣が落ちる。
 猫又に付けられた傷が、露わになった。

 そはや丸は、片手で呉羽を抱いたまま、その傷に口を近づけると、軽く舌を這わす。
 びく、と呉羽の身体が強張った。

「どうよ? こんなこと、右丸にされたらどうする?」

「そ、そんなこと・・・・・・。想像もできない・・・・・・」

 あの大人しい右丸が、このように大胆な行動に出るとも思えない。
 が、そはや丸は少し顔を上げた。

「甘いぜ。さっきも言ったろ。男は欲望の生き物だ。まして好いた女なら、抱きたいと思って当たり前だぜ」

 そう言うと、さらに呉羽の衣を広げ、胸元に顔を埋めた。

「・・・・・・これだから、お前は心配なんだ」

 呉羽の胸に顔を埋めたまま、そはや丸は呟いた。

「男の前で、無防備過ぎる。いざ襲われないとわからない。・・・・・・遅いんだよ」

「だけどっ! 男なんかに、ここまで許すものか。引き寄せられた時点で、頭かち割ってやる」
< 119 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop