妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「お、お待ちください。あの、ほたる様も是非、お礼がしたいと・・・・・・」
思いきり眉間に皺を刻んで、そはや丸が振り返る。
その、いかにも迷惑そうな表情に、右丸はびくりと足を止めた。
が、重ねて言う。
「わ、わたくしも、烏丸のことが気になります故・・・・・・」
少し赤くなって、右丸が訴える。
そはや丸は渋い顔で、右丸を見た。
右丸がここまでそはや丸に食い下がるのは珍しい。
そもそも、ただのヒトが、弔いでもないのにこのような屍転がる葬送の地まで出張ってくる辺りがおかしいのだ。
---こいつ、そんなに呉羽に会いたいのか---
右丸は呉羽に惚れているのだ。
長く身の内に飼っていた烏丸を可愛がっていたのも事実だし、その烏丸を気にするのも、嘘ではないだろう。
が、わざわざ訪ねてくるほどの度胸はない奴だ。
それが、とうとう気持ちを抑えられなくなったか、と思っていると、右丸の後ろに立っていた女官が、初めて声を上げた。
「ほほほ。良いではありませぬか。わたくしもおりますのよ? あなた様のお心にほだされ、このわたくしが、わざわざ出向いてきたのですから」
あこめ扇を広げて高飛車に笑う女官は、その言葉に相応しく、優雅な所作で辺りを見回した。
思いきり眉間に皺を刻んで、そはや丸が振り返る。
その、いかにも迷惑そうな表情に、右丸はびくりと足を止めた。
が、重ねて言う。
「わ、わたくしも、烏丸のことが気になります故・・・・・・」
少し赤くなって、右丸が訴える。
そはや丸は渋い顔で、右丸を見た。
右丸がここまでそはや丸に食い下がるのは珍しい。
そもそも、ただのヒトが、弔いでもないのにこのような屍転がる葬送の地まで出張ってくる辺りがおかしいのだ。
---こいつ、そんなに呉羽に会いたいのか---
右丸は呉羽に惚れているのだ。
長く身の内に飼っていた烏丸を可愛がっていたのも事実だし、その烏丸を気にするのも、嘘ではないだろう。
が、わざわざ訪ねてくるほどの度胸はない奴だ。
それが、とうとう気持ちを抑えられなくなったか、と思っていると、右丸の後ろに立っていた女官が、初めて声を上げた。
「ほほほ。良いではありませぬか。わたくしもおりますのよ? あなた様のお心にほだされ、このわたくしが、わざわざ出向いてきたのですから」
あこめ扇を広げて高飛車に笑う女官は、その言葉に相応しく、優雅な所作で辺りを見回した。