妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「・・・・・・全く。まるで親子だな」

 呆れたように言うそはや丸だったが、呉羽は、ぱっと笑顔になった。

「そうだ。そうしよう。烏丸は、お前と私の子供だ」

 ぶっと、そはや丸が吹き出す。
 烏丸も、驚いたように目をいっぱいに見開いた。

「えええ? おいら、お姉さんの子供なの?」

「そうだよ。だってお前をここに引き出したのは、そはや丸だし」

 そういうことなら、何となく母親は右丸なのでは、と思わないでもないが、烏丸は無邪気に呉羽に抱きついた。

「えへへへ。お母さん~~」

 が、そんな無邪気な烏丸を、そはや丸が容赦なく引き剥がす。

「調子に乗んじゃねぇ。何が『お母さん』だ」

「いたたたたっ! もぅ~、子供に何てことするのよぅっ。そはや丸は、お父さんでしょう~」

「はああぁぁぁ? 何言ってやがる」

「だってそうじゃない。それとも、右丸がお父さんでもいいの?」

 ぐ、とそはや丸が口をつぐむ。
 そんなやり取りを眺めながら、呉羽は、ふぅ、と息をついた。
 それに気づいたそはや丸が、呉羽の肩に手を回して、自分にもたれさせる。

「よく考えたらさぁ、丁度良い感じじゃないか? 烏丸は、ヒトにも近い妖だ。まるっきりの妖とヒトの子であっても、おかしくない」

 まるっきりの妖とヒト。
 そはや丸と呉羽。
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