妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「・・・・・・お前な、簡単に言うが、俺とお前は根本が違う。そいつにも言ったが、お前らは『生きてる』が、俺は『生きてない』。命のあるなしってのは、大きな違いだ」

 言いながら、そはや丸は呉羽を抱き寄せる。

「こうやっても、暖かくないだろ」

「そうだけど」

 そはや丸の腕の中で、呉羽は上目遣いに彼を見上げた。
 そして、さらに身体をぴとりとつける。

「でもさ、こうやってると、何だって暖かくなるよ」

 呉羽の体温が、ほんわりとそはや丸に伝わる。
 同時に何となく、そはや丸は胸の辺りが暖かくなるような気がして、ちょっと落ち着かなくなった。

 こうしていると、胸の辺りがむずむずする。
 だけども、不快ではない。

「お、お前。お前こそ、右丸のことはどうするんだ。あいつは女官と違って、ここに来ようと思えば来られるだろ」

 気を紛らわせるべく、そはや丸は、ふと引っかかっていたことを聞いた。
 烏丸が、ちろ、と呉羽を見る。

「右丸は・・・・・・どうする、と言っても。あいつが何を求めてるのか、わからないもの」

 そはや丸の、呉羽を抱く手に力が入る。

「言っただろ。男は誰だって、好いた女子は抱きたいもんだ」

「そはや丸。右丸は、お姉さんにそんなことしないよ」

 烏丸が言うが、そはや丸は、ふんと鼻を鳴らす。
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