妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「私も初めは、報酬は期待してなかった。けどな、どうも今回のことは、左大臣家からの、たっての願いのようだ。主導権は一番女官殿に親しい右丸にあるのかもしれないが、皆が皆困っているのなら、解決すれば、それなりの礼金は出るだろう。体面もあるしな」

「・・・・・・お姉さん・・・・・・。がめつい」

 そはや丸の横で、烏丸が胡乱な目で呉羽を見た。

「なるほどなぁ・・・・・・」

 顎をさすりながら、そはや丸も考え出す。
 普通そはや丸は、報酬などで動かないが、珍しく協力的だ。

 モノであるそはや丸は、報酬など別に必要ない。
 だが呉羽は、生活のために外法師をしているので、仕事をしたらそれなりの報酬を必要とする。

 そはや丸が報酬を要求するのは、呉羽のためなのだ。

「それに、やっぱり私にも責任はあるし・・・・・・」

 ぼそ、と言いながら、呉羽は衣を落とす。
 白い素肌に、赤く残った傷跡。
 そはや丸は立ち上がり、呉羽の着替えを手伝った。

「丁度前に左大臣家に行ったときの衣があって良かった。これであれば、それなりに小綺麗だろ」

「まぁな・・・・・・」

 言いながら、そはや丸は、ゆらりと身体の線を崩す。
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