妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
呉羽は一度、烏丸に向かって、そっと指を口の前で立て、それから顔を上げて右丸を見た。
「久しぶりだな。どうしたんだ?」
「あっ・・・・・・え、えっと。あの、その。お、お礼を言いに・・・・・・」
途端に真っ赤になって、右丸はもごもごと言う。
「礼?」
首を捻る呉羽に、右丸は、がばっと頭を下げた。
あまりに勢いがつきすぎて、抱いている烏丸が転がり落ちそうになる。
「わ、私を助けるために、お骨折り頂いて、ありがとうございますっ」
ん? と相変わらず首を捻っていた呉羽は、ああ、と思い出したように手を打った。
「礼には及ばんよ。いや、烏丸が必死で助けを求めるもんだからさ、可哀相で。でもとにかく、烏丸が無事で良かった」
あはは、と笑う呉羽に、右丸の目は胡乱になる。
何だか何気に先のそはや丸と似たようなことを言われたような。
少し離れたところでは、そはや丸が小さく肩を震わせている。
「でもま、お前も無事で良かった。烏丸もお前に会いたがっていたし」
右丸の胸にいる烏丸の頭を撫で、呉羽が言ったことに、右丸は少し救われた。
「それだけのために、わざわざ来たのか。烏丸をやろうかと思ってたんだけど、丁度良かった」
言いながら呉羽は、ふと自分を見る女官に気づいた。
何となく棘のある目で呉羽を見た後、女官は、顔の前で開いたあこめ扇を小さく振って、再び高飛車に口を開いた。
「久しぶりだな。どうしたんだ?」
「あっ・・・・・・え、えっと。あの、その。お、お礼を言いに・・・・・・」
途端に真っ赤になって、右丸はもごもごと言う。
「礼?」
首を捻る呉羽に、右丸は、がばっと頭を下げた。
あまりに勢いがつきすぎて、抱いている烏丸が転がり落ちそうになる。
「わ、私を助けるために、お骨折り頂いて、ありがとうございますっ」
ん? と相変わらず首を捻っていた呉羽は、ああ、と思い出したように手を打った。
「礼には及ばんよ。いや、烏丸が必死で助けを求めるもんだからさ、可哀相で。でもとにかく、烏丸が無事で良かった」
あはは、と笑う呉羽に、右丸の目は胡乱になる。
何だか何気に先のそはや丸と似たようなことを言われたような。
少し離れたところでは、そはや丸が小さく肩を震わせている。
「でもま、お前も無事で良かった。烏丸もお前に会いたがっていたし」
右丸の胸にいる烏丸の頭を撫で、呉羽が言ったことに、右丸は少し救われた。
「それだけのために、わざわざ来たのか。烏丸をやろうかと思ってたんだけど、丁度良かった」
言いながら呉羽は、ふと自分を見る女官に気づいた。
何となく棘のある目で呉羽を見た後、女官は、顔の前で開いたあこめ扇を小さく振って、再び高飛車に口を開いた。