妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「ほっほたる様ぁっ! な、何ということに!!」
思わず駆け寄ろうとした右丸の足を、呉羽は素早く払った。
ずでん、と右丸が横倒しに転がる。
「馬鹿っ。不用意に近づくな!」
「く、呉羽様・・・・・・」
思わぬ呉羽の足技に呆気に取られ、右丸は固まった。
呉羽の視線の先で、ほたるは真っ直ぐに、こちらに顔を向けた。
呉羽の眉間に皺が寄る。
妖気は強くなっている。
先程の呻き声といい、何か憑いているのは間違いないようだ。
が、今目の前のほたるは、見てくれこそ肉は削げ落ち、口元からは牙が覗く異形と化しているが、その瞳は、爛々とした輝きとは裏腹に、不安げに揺らめいている。
『こいつは・・・・・・』
ぼそ、と呉羽の手の中のそはや丸が呟いた。
その声に、ほたるは、ぴくりと反応した。
「ああっそはや丸殿っ・・・・・・!」
姿を捜すように、空(くう)に手を伸ばす。
呉羽は戸惑った。
今の声は、ほたるのものだ。
そはや丸の声に反応したのは、ほたる自身だろう。
だが刀の状態のそはや丸の声が、只人(ただびと)に聞こえるわけはないのだ。
現に、右丸はほたるの行動が理解できず、ただぽかんと口を開けている。
そはや丸の声が聞こえるということは、やはり身の内に妖がいるということだ。
思わず駆け寄ろうとした右丸の足を、呉羽は素早く払った。
ずでん、と右丸が横倒しに転がる。
「馬鹿っ。不用意に近づくな!」
「く、呉羽様・・・・・・」
思わぬ呉羽の足技に呆気に取られ、右丸は固まった。
呉羽の視線の先で、ほたるは真っ直ぐに、こちらに顔を向けた。
呉羽の眉間に皺が寄る。
妖気は強くなっている。
先程の呻き声といい、何か憑いているのは間違いないようだ。
が、今目の前のほたるは、見てくれこそ肉は削げ落ち、口元からは牙が覗く異形と化しているが、その瞳は、爛々とした輝きとは裏腹に、不安げに揺らめいている。
『こいつは・・・・・・』
ぼそ、と呉羽の手の中のそはや丸が呟いた。
その声に、ほたるは、ぴくりと反応した。
「ああっそはや丸殿っ・・・・・・!」
姿を捜すように、空(くう)に手を伸ばす。
呉羽は戸惑った。
今の声は、ほたるのものだ。
そはや丸の声に反応したのは、ほたる自身だろう。
だが刀の状態のそはや丸の声が、只人(ただびと)に聞こえるわけはないのだ。
現に、右丸はほたるの行動が理解できず、ただぽかんと口を開けている。
そはや丸の声が聞こえるということは、やはり身の内に妖がいるということだ。