妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「私一人では、難しいな・・・・・・」

 気を引き出すことは出来ても、その後引き出した気を浄化するには、呉羽が術を施さねばならない。
 呉羽が己の身に引き入れてしまうと、それが出来なくなる可能性がある。

『斬っちまおうぜ』

 手の中で、そはや丸が言った。
 それに、ほたるは鼻を鳴らす。

『この女ごと斬るというのか? この女、どうやらお前に並々ならぬ関心があるようじゃ。そのような女を斬ることが出来るか?』

『知ったことかよ。全く、気の塊ってのも、所詮はヒトの女子の気か。考えが甘いんだよ』

 そはや丸の冷たい言葉に、ほたるの顔が僅かに強張った。

『自分に関心があるから斬れない? 馬鹿馬鹿しい。他の奴がどう思おうと、そんなこと全っ然気にならないね。俺様は主以外の者など、心底どうでもいい』

『「主・・・・・・」』

 ほたるの声がダブった。
 見ると、ほたるの顔は、先程までのおぞましさはなく、普通の人間のものだ。

 が、眼光の鋭さは異常である。
 むしろ先程よりもぎらぎらと、凶悪な光で呉羽を睨み付ける。
 すっくと、ほたるが立ち上がった。
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