妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「・・・・・・そうは思わないけど」

 ぐ、と言葉に詰まり、だが呉羽は、また少し身体を捩って、局の中に顔を向けた。

「烏丸の扱いが乱暴過ぎる! 可哀相だろうがっ」

「ふん。あれぐらいで壊れるような妖怪じゃねぇだろ。甘えすぎだ。それよりも、お前もそんな声を張るな。傷に障る」

 呉羽は、ちら、とそはや丸を見上げた。
 相変わらず偉そうで、驚くほど乱暴だが、呉羽のことは心配しているようだ。

 烏丸も、局の奥から、ちらりとそはや丸を見た。
 そして己を抱いている右丸を見る。

---あ~あ。もう、そはや丸はお姉さん第一なんだから。自分がお姉さんには超甘いって、わかってるのかしら---

 右丸も、微妙な表情で、呉羽とそはや丸を見ている。

---右丸には可哀相だけど、やっぱりお姉さんは、そはや丸に惹かれてるみたいだし。ん~、でも、やっぱりそはや丸は刀だしなぁ。右丸にも、まだ希望はあるんじゃないかしら---

「烏丸、どうだ? わからないか?」

 全然関係ないことを考えていた烏丸は、呉羽の声に、はた、と我に返った。
 慌ててほたるの様子を窺う。
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