妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「・・・・・・ほたる様とのことは、どうするおつもりです」

 険しい表情で、右丸が口を開いた。
 そはや丸は、少し片眉を上げた。

「何を聞いてたんだ。あいつはもう大丈夫だって、呉羽が言ったろ」

「そうではありません! あなたとほたる様のことは、どうするつもりだと聞いているんです!」

 馬鹿にしたように言うそはや丸に、右丸が声を荒げた。

「憑き物は落ちたかもしれませんが、根本的な心のほうは、何の解決もされてないのではないですか?」

「・・・・・・何だよ、心って」

「わからないと言うんですか? ほたる様は、あなたを想う余り、ああなったのです! あなたは戯れにも、ほたる様に言い寄った。己の不実さを、ちゃんと詫びたわけではありますまい!」

「知ったことかよ。何度も言うが、あいつは器として使うに丁度良かっただけ。言い寄ったつもりもないね」

 つん、とそっぽを向くそはや丸に、右丸は怒りに燃える目を向ける。
 呉羽が、少し慌てたように、割って入った。

「あの、えっと。こいつはちょっと、言い方が悪いが。ええっと・・・・・・今回のことは、女官殿の勘違いというか。う~ん、誤解から生じてしまったことなんだよ」

 何と言ったら良いものか。
 下手に言えば、己もそはや丸と同じように、心ないことを口にしそうだ。

 元々こういう色恋沙汰が苦手な呉羽である。
 どう言えば、相手を傷つけずに引き下がってもらえるか、さっぱりわからない。
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