妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「これでちょっとはマシかなぁ・・・・・・。あ痛たたたた」

 あまり大きく息をすると、胸が痛む。
 そはや丸の手をさすりながら、呉羽は呻いた。

「・・・・・・厄介だなぁ。まぁ、この上に風邪でも引かれたら困る」

 そはや丸は、呉羽から手を取り戻すと、己の着物と擦り合わせて、摩擦で少し熱を起こした。

「ほら、これで我慢しろ。それより、骨を痛めたって? 刃で斬られたわけじゃないだろうな」

 再び呉羽の胸に手を当てて、少しずつずらしながら押していく。

「そこまで深くは刺さってないと思うんだが。でも傷ついたのかも。血も思いの外、出たし」

「結構な傷だぜ。ったく、このところ、お前は生傷が絶えないな」

 刺し傷の辺りを押したときに、呉羽が顔をしかめるのを認め、そはや丸は手を離した。

「やっぱり刃が届いたんだな。ま、骨を痛めたんなら、しばらくじっとしておくしかねぇ」

 そして呉羽の衣を脱がせると、それを広げた。
 ほたるの手の傷の手当てに、片袖は引き千切ってしまった。
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