妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
 夜が白々としてきた頃、そはや丸は呉羽の異変に気づいた。
 そはや丸の腕の中で、がたがたと震えている。

「おい呉羽、どうした」

 上体を起こし、そはや丸は呉羽を覗き込んだ。
 真っ青だ。

「・・・・・・さ、寒い・・・・・・」

 がちがちと、震える声で呉羽が呟く。
 傷が元で、熱が出てきたようだ。
 震えようからして高熱なのはわかるが、それだけに、上がりきるまでは非常に寒いのだ。

「おい、しっかりしろ」

 揺さぶってみるが、呉羽は力なく倒れているだけだ。
 ぞく、とそはや丸を、悪寒が襲った。

 このまま放っておくと、呉羽は死んでしまうかもしれない。
 己が殺すわけでもなく、呉羽がこの手からすり抜けて行ったら・・・・・・。

「・・・・・・そんなこと・・・・・・させるかっ」

 そはや丸は起き上がると、呉羽の帯を解いた。
 一旦着物を脱がし、それを呉羽の身体にかけると立ち上がり、几帳を押しのけて右丸を蹴り上げる。
 まどろんでいた右丸は、驚いて飛び起きた。
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