妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
 呉羽が騒いだお陰で目覚めた右丸は、覚醒と同時に飛び起きた。
 呉羽の前に、がばっと平伏する。

「申し訳ありません! 呉羽様のお身体に触れることなど、普通なら許されないことですが、何分呉羽様のお加減が随分悪く、寒そうに震えてらしたもので。わ、私に出来る事と言えば、己で呉羽様を暖めることぐらい・・・・・・。そ、それだけは、出来ますので」

 素っ裸でひたすら平伏する右丸を、呉羽は見つめた。
 とりあえず単を羽織り、部屋を見回す。
 そはや丸の姿を捜したのだが、頭を振った拍子にまた目眩がし、呉羽は床に手を付いた。

「あ、く、呉羽様。まだ動かれないほうが」

 右丸が慌てて、呉羽の肩を支えた。

「呉羽様、熱いですよ。あの・・・・・・」

 右丸が何か思い詰めたように、呉羽を見る。
 呉羽は羽織った単の合わせを握りしめて、顔を上げた。
 不意に、肩にかかった右丸の手に力が入った。

「呉羽様っ・・・・・・」

 右丸に引き寄せられ、呉羽は再び彼の腕の中へ。
 びく、と呉羽の身体が強張った。
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