妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「あの人、右丸のことを頼みに来た人だろ? 礼を言いに来たわりには、何かえらい敵意を感じるなぁ」

 何でだろ? と頬を掻く呉羽に、烏丸は、ん~、と首を捻った。
 そして、あ、と声を上げ、またそはや丸に睨まれる。
 うう、怖い、と涙目になりながら呉羽にくっつき、烏丸は再びこそっと口を開いた。

「あのね、ほたるさん、右丸のことを気に入ってたの」

「へぇ」

「・・・・・・」

 これだけでは、呉羽には伝わらない。
 自分には関係ないではないか、と思いながら、呉羽は梅の枝を挿した壺を、飾り棚に置いた。
 烏丸は呉羽の肩に乗り、思い出しつつ言葉を続ける。

「んっと、それでね。この前おいらを右丸から引き出すときにね、そはや丸がほたるさんを媒体に使ってね」

「ああ、やっぱりね」

「でしょ? だからなのよ」

「・・・・・・何がだ?」

「・・・・・・」

 話にならない。
 烏丸は、呉羽の肩の上で、頭を抱えた。
 烏丸は、呉羽が『やっぱり』と言ったのは、媒体に使うために行う行為が、女子(おなご)に及ぼす影響を理解しているからだと思ったのだが、どうやらそうではないらしい。
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