妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「呉羽様っ」

 右丸の顔が近づき、呉羽は我に返った。
 咄嗟に顔を背ける。

「呉羽様は、そはや丸殿をお慕いしているのですか?」

 右丸が、先と同じ問いを繰り返す。
 呉羽は右丸の下で、単の合わせを握りしめたまま、じ、と彼を見た。

 単は羽織っただけなので、合わせを持っていなかったら前が開いてしまう。
 今もきちんと合わさっている状態ではないが。

 再び、右丸が顔を近づけてきた。

『ヒトは、接吻てのは、好いた人とするもんなの』

 烏丸の言葉が思い出される。
 呉羽は、ぎゅ、と目を閉じた。
 思わず口も引き結んでしまう。
 その唇に、何かが触れた。

「・・・・・・っ」

 呉羽が大人しければ、右丸としては欲望に火が点いてしまう。
 そのまま、ぎゅっと呉羽を抱きしめた。
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