妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「呉羽様っ・・・・・・。お慕いしております」

 押し出すように言い、右丸は呉羽の首筋に接吻した。
 お互いほぼ裸である。
 この状態で、若い男が我慢できようはずがない。

 だが。

「・・・・・・痛・・・・・・。右丸、傷が痛い・・・・・・」

 燃え上がった右丸の欲望は、呉羽の小さな呟きにかき消された。

「あっ・・・・・・。だ、大丈夫ですか?」

 我に返り、右丸は身体を起こした。
 呉羽は単の合わせを握ったまま、少し潤んだ目で右丸を見た。

「ちょっと起こしてくれないか。護符を・・・・・・」

 右丸に手を差し伸べる。
 とりあえず脱いでいた水干を手早く着け、右丸は呉羽を抱き起こした。

「・・・・・・」

 右丸にもたれかかり、呉羽はしばらくぼんやりと、部屋の隅の文机を見た。
 いつの間にか、烏丸の姿もない。

「右丸、悪いが、文机まで連れて行ってくれるか?」

「あ、は、はい」

 呉羽が右丸に寄り添ったままなので、右丸も今は躊躇いなく呉羽を抱き上げた。
 右丸に触れるほど、呉羽の中に微妙な感情が生まれる。

 あまり力もないのだろう、若干ふらつきながらも、右丸は呉羽を文机の前に下ろした。
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