妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「んっとね、おいら思うんだけど、そはや丸は、刀でもちゃんと心があるじゃない。自分の意思で動くし、自分でものを考えるでしょ。ほんとのモノってのは、そんなことしないよ? 心があるって時点で、それは命あるモノなんじゃないかしら」

 小さいなりに、烏丸は必死で考えつつ言葉を紡ぐ。
 上手く言い表すことが出来ないようで、烏丸は、う~んう~んと唸りつつ頭を抱えている。

「・・・・・・俺は死ぬことはないぞ。それでも、命があると言えるのか?」

 そはや丸が、渋い顔のまま言う。

「ん~・・・・・・。そはや丸は、難しく考えすぎなんじゃない? あのさ、もしもよ、そはや丸が、もう一言も喋らないで、人型も取らないで、何にも考えなくなっちゃったら、心自体がなくなったってことでしょ。そうしたらそのときが、そはや丸が死んじゃったってことじゃないかしら」

「どういうことだ?」

「簡単に言うと、人型のそはや丸がいなくなっちゃったときが、そはや丸が死んじゃったときってことかな。おいらはねぇ、そはや丸は、『生きてる』と思うよ」

 そはや丸は、上体を起こして烏丸を見つめた。
 そはや丸の胸の上にいた烏丸は、あれ~と言いながら、腰の辺りまで転がり落ちる。
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