妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
---考えすぎ・・・・・・か・・・・・・---

 ふ、と口元に笑みが浮かぶ。
 烏丸が、『そはや丸は生きている』と言ったことが嬉しかった。

---心があれば、生きている、か。なるほどな---

 単純明快な考え方だ。
 が、すっと気持ちが軽くなった。

 そはや丸は、とん、と屋根を蹴ると、簀の子に飛び降りた。
 妻戸を開けると、文机の前に座っている呉羽の後ろ姿が目に入る。

「烏丸?」

 ゆっくりと、呉羽が振り向いた。
 簀の子に立つそはや丸を見、僅かに目を見開く。

「そはや丸・・・・・・」

 何だか今の呉羽は、いつもよりも美しく見える。
 雰囲気が、一気に女らしくなった。

 だが、どこか儚げだ。
 壊れそうな脆さを感じる。

 怪我の故か、それとも右丸と何かあったのか。
 そはや丸は、気を静めて部屋に入り、妻戸を閉めた。
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