妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「・・・・・・何固まってるんだよ」

 そはや丸の腕の中で小さくなりながら、呉羽は引き寄せた単を握りしめている。

「早く着ろって」

 そはや丸は呉羽から単を取り上げた。
 その瞬間、びく、と呉羽の身体が強張る。

「・・・・・・?」

 変だな、と思いつつ、そはや丸は広げた単を呉羽に着せた。

「よいしょっと」

 軽く呉羽を持ち上げ、単を着せ終えると、やっと呉羽は身体の力を抜いた。
 そのまま、そはや丸の胸に身体を預ける。

「護符を渡したのか」

 何となく気まずい空気に耐えかね、そはや丸は文机を見て言った。

「うん。右丸は、そのために来たんだし」

 またも落ちる沈黙。
 呉羽が、少しだけ顔を上げた。

「烏丸は?」

「右丸を送って行った」
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