妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「そういう、欲も含めての感情ってのが、何となく理解できたからさ、女官殿の、お前を想う気持ちも、何となくわかるんだ。でもね、そこで不思議に思うのが、お前はモノなのに、右丸と全く同じような感情を持ってるってことなんだよな」

「・・・・・・」

「それに気づいたときに、お前は、ただのモノじゃないなって思ったんだ。ヒトでもないかもしれないけど、ただのモノでもない。右丸とか、烏丸と変わらん『男』だなって。そう気づいて、さらに右丸に・・・・・・抱かれそうになって、そういう色事を意識すると、何となく、今まで特に気にすることなくお前の前で裸になってたのが、急に恥ずかしくなって」

「俺を『男』だと、意識している、ということか」

 だから、そはや丸が単を脱がせたときに、背を向けていたのか。
 着せるまで、小さくなっていたのは、恥ずかしかったからなのか。

「でも、俺を男と見ているわりには、嫌がるでもないな」

 身を寄せている呉羽に、そはや丸は疑問をぶつけた。

「お前、男は嫌いだろ」

「男は嫌いだけど、お前は嫌いじゃないもの」

 ちら、とそはや丸を見上げて言う呉羽に、そはや丸の胸は少しざわつく。

「・・・・・・」
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