妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「もう、お前には優しさというものがないのか。こんな小さな奴を苛めて」
片手で烏丸を抱き、もう片方の手でよしよしと撫でながら、呉羽がそはや丸を睨みつつ、女官の前に座った。
「・・・・・・えらく懐いておりますのね」
気味悪そうに、ほたるが眉を顰めて言う。
「人語を話していたように思うのですけど」
「気のせいでしょう」
しれっと流す呉羽に、ほたるはちらりと目を向けたが、特に深く突っ込むことはせず口をつぐむ。
あまり詳しく聞いて、恐ろしいことに巻き込まれるのは嫌なのだ。
ただでさえ、ここは葬送の地。
今は雪で見えないが、美しい雪の下には、夥しい屍が転がっているのだ。
変な話をすると、妙なモノを呼び寄せてしまうかもしれない。
「・・・・・・その後、右丸の様子はどうです?」
沈黙に耐えかね、呉羽がほたるに問うた。
「右丸は良くなりました。わたくしのほうが、何か調子を崩しましたけど」
ばら、とあこめ扇を広げて答えるほたるは、相変わらず好意的でない目で呉羽を見る。
またも落ちた沈黙に、今度は右丸が口を開いた。
「あ、あの。本当にその折は、お世話になりました。その、お礼もできませんで、申し訳ないのですけど」
片手で烏丸を抱き、もう片方の手でよしよしと撫でながら、呉羽がそはや丸を睨みつつ、女官の前に座った。
「・・・・・・えらく懐いておりますのね」
気味悪そうに、ほたるが眉を顰めて言う。
「人語を話していたように思うのですけど」
「気のせいでしょう」
しれっと流す呉羽に、ほたるはちらりと目を向けたが、特に深く突っ込むことはせず口をつぐむ。
あまり詳しく聞いて、恐ろしいことに巻き込まれるのは嫌なのだ。
ただでさえ、ここは葬送の地。
今は雪で見えないが、美しい雪の下には、夥しい屍が転がっているのだ。
変な話をすると、妙なモノを呼び寄せてしまうかもしれない。
「・・・・・・その後、右丸の様子はどうです?」
沈黙に耐えかね、呉羽がほたるに問うた。
「右丸は良くなりました。わたくしのほうが、何か調子を崩しましたけど」
ばら、とあこめ扇を広げて答えるほたるは、相変わらず好意的でない目で呉羽を見る。
またも落ちた沈黙に、今度は右丸が口を開いた。
「あ、あの。本当にその折は、お世話になりました。その、お礼もできませんで、申し訳ないのですけど」