妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
 ごにょごにょと言い、その場に平伏する。
 ようやく、ほたるも小さくだが頭を下げた。

「外法師様のお陰ですかね」

 尊大に、ちょい、と下げた頭を戻し、あ、と何かを思い出したように、ずいっと身を乗り出した。

「そうね。外法師様がそはや丸を遣わしてくれなかったら、わたくしは彼に会うこともなかったのだわ。その点は、感謝しております」

 扇の向こうから、にこりと笑う。
 何のことやらわからず、呉羽はきょとんとほたるを見た。

「おい右丸」

 不意にそはや丸が口を開いた。

「お前、礼はできねぇとか抜かしたか?」

 ぎろりと、部屋の隅の右丸を睨む。
 烏丸同様、右丸もそはや丸の視線に震え上がった。

「ああああ、すっすみません! わたくしの稼ぎなどでは、とてもとても」

 蒼白になり、右丸はまた、その場にがばっと平伏した。

「ふざけんな。誰がてめぇのためなんかに、ただ働きしてやるか。坊主に身を売ってでも、払うモン払えや」

 傍に刀でもあれば、即座に叩き斬りかねないそはや丸の態度に、右丸は、ひいぃっと息を呑む。
 もっともそはや丸自身が刀なので、他に刀などはないのだが。
< 21 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop