妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「まぁ、そのように照れなくても。それとも・・・・・・」

 にこにこと、そはや丸に迫っていたほたるが、いきなりキッと呉羽を睨んだ。

「その女子に、知られてはまずいのかしら」

「知ってますが」

 きょとんと呉羽は、ほたるに言う。
 二人の会話は、全然噛み合っていない。
 ほたるは嫉妬心丸出しに、呉羽を睨(ね)め付けると、ふん、と鼻を鳴らして顎を反らせた。

「そもそもあなたが、わたくしの元に、そはや丸を遣わしたのですから、今回だって、ちょっとは遠慮なさったらいかが? 全く、気の利かない小娘だこと」

「???」

 訳がわからず、呉羽は片手に烏丸を抱き、片手はそはや丸の袖を掴んだ状態でぽかんとしている。
 理解不能なことで脳みそが停止し、いつもより、どこか幼く見える。

 そんな呉羽を、そはや丸は、じっと眺めた。
 己の袖を掴む呉羽の手に、心の奥がざわつくのを僅かに感じながら顔を上げると、部屋の隅の右丸も、じっと呉羽を見つめている。
 その顔は、少し驚いたような、それでいて、どこか嬉しそうな表情だ。

---巫女様・・・・・・。可愛い!---

 右丸は心の中で叫んでいた。
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