妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
第三章
 その少し前。
 呉羽は母屋(といっても離れがあるわけではないが)から少し離れた簀の子で、烏丸を抱いて雪を見ていた。

「あ、あの。巫女様」

 横で呉羽にしばし見惚れていた右丸が、ようやく声をかけた。
 その声に、我に返ったように、呉羽が振り向く。

「ああ、何だか状況がよく理解できなくて、ぼぅっとしてしまった。すまんな」

 にこ、と笑うが、その笑みも、何となく右丸には悲しそうに見えてしまう。

---きっと巫女様は、そはや丸を取られて打ちひしがれてるんだ!---

 それなのに、そんなに周りに気を遣って・・・・・・と、右丸は己が泣きそうになる。
 一方ただ本当に何が起こっているのか、さっぱりわからないだけの呉羽は、う~んと唸りつつ口を開いた。

「なぁ右丸。あの女官殿、一体どうしたんだろう。お前のところに行ったとき、そはや丸はあの女官に、何したんだ?」

「えっ・・・・・・」

 途端に右丸は真っ赤になる。
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