妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「ほたる様。呉羽様がそはや丸殿を遣わしたのは、呉羽様では左大臣家に入れないからですよ。仕方ないじゃないですか」

 咄嗟に右丸が、呉羽を庇う。
 右丸はそはや丸が刀だとは知らないので、では何故そはや丸は入れるのか、ということまではわからないが、とにかく呉羽を救うために必死だ。
 出任せ的な言い分だが、意外に的を射た意見に、ほたるも、ぐ、と口をつぐんだ。

「・・・・・・そういえば、彼は目眩ましの術で屋敷に入れる、と仰っておりましたわね」

 ほたるももちろん、そはや丸が刀だとは思っていないが、そはや丸をほたると一緒に左大臣家へやったときに言った呉羽の言葉を思い出し、小さく頷いた。

「あの、それで、その憂いを取り去るためにも、何があったのかお教え願えませんか? 何分奴は、あのような態度なもので・・・・・・」

 意を決して、呉羽はほたるに状況説明を頼んだ。
 ほたるは少し目を見開いて、すぐに、ほほほ、と高笑いする。

「まぁ、彼もやはり、若い男ですわね。そのようなこと、他人にべらべら喋るのは、恥ずかしいのでしょう。ふふ、照れておりますのよ」

 呉羽は首を傾げた。
 呉羽自身、そはや丸の過去は知らないが、相当昔から存在しているだろうことはわかる。
 若いはずはないのだが、と思いつつ、ふと彼の外見を思い浮かべてみる。

---そういや、今まで全然気にしてなかったが、あいつの人型って・・・・・・老人ではないよなぁ。若い・・・・・・のか? 私よりは年上・・・・・・なんだろうか。う~ん、世間の男なんて全く興味ないから、ろくに見てこなかったな。いや・・・・・・唯一私がちゃんと見る男が、あいつだってことか---
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