妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
 呉羽は男が嫌いである。
 見目良い呉羽は、地下人の外法師ということで、貴族などは金を積んで囲おうとしたりする。
 遊び女(め)と同様にしか、見られないのだ。

 小さな呉羽が恐れないような弱小な妖も恐れるほどの腰抜けのくせに、女子と見れば獣のように襲いかかる。
 男とは、そういうものだという考えがあるのだ。

 だが不思議に、そはや丸はずっと男の姿であっても、気にならない。
 妖だからだ、と思っていたが。

「・・・・・・とりあえず、状況をお教え願えませんか? そはや丸を遣わした責任は、主である私が、ちゃんと取ります」

 ほたるの片眉が上がった。
 扇を閉じ、居住まいを正して、キッと呉羽を見る。

「責任を取るとは、どういうことです。わたくしと、そはや丸殿の仲を、認めるということかしら」

「・・・・・・?」

 あまりにほたるの言うことがわからないため、呉羽は努めて、彼女の言葉をよく考えることにした。
 口を開く前に、よくよく考えてみる。
 どうやら今までとは違う視点から、ほたるの言葉の意味を考える必要があるようだ。

「・・・・・・あの。とりあえず、そはや丸があなた様に何をしたのか、詳しくお聞かせ願えませんでしょうか」

 いきなり思考を変えることは難しい。
 とにかく冷静に、詳しく話を聞こうと、呉羽は傍の右丸にも座るよう促した。

「お前も、覚えている限りでいい。そはや丸の行動を教えてくれ」

 右丸は微妙な表情で、そろそろと呉羽の横に腰を下ろす。
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