妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「お部屋は、この一間しかありませんわね。となると、あの几帳で、全て執り行っているということですか?」

「・・・・・・何を、でしょう」

「男女の隔たりです」

 少し顔を赤らめて、ほたるが言う。
 男女の隔たりって何だろう、そもそも男って誰だ? と考えて、やっとそはや丸のことかな、と思う程度に、呉羽の中でのそはや丸は、自然な存在だ。

「そはや丸との間に、そんなものは必要ありませんよ」

「まぁっ。いくら仲が良くたって、夫婦なわけではありますまい。夜はどうするのです」

「夜こそ、奴は傍にあらねば」

 刀だから、と内心付け足しながら言うのだが、ほたるは眦を吊り上げた。
 横で右丸も固まっている。

「・・・・・・あなたとそはや丸は、一体どういう関係なのですかっ・・・・・・」

 怒りだろうか、ぶるぶると震えるほど拳を握りしめ、ほたるは呻くような声を出した。
 あまりの形相に、さすがの呉羽もちょっと怯んだ。

「主従関係だと・・・・・・」

「それはわかっております! 立場的なものではなく、あなたの気持ちはどうなのです!」

 ばし! と扇で膝を打ち、ほたるは怒鳴った。
 あまりの剣幕に、呉羽の膝の上の烏丸も、びびって呉羽にしがみつく。
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