妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
第四章
 しん、と静まり返った室内。
 どれほどの時間、ぼんやりしていたのだろう。
 もぞ、と動いた烏丸に、呉羽はゆるゆると視線を落とした。

「・・・・・・寒くなってきたね」

 膝の上で丸まっていた烏丸が、もぞもぞ、とさらに呉羽に引っ付いてきながら口を開いた。
 火鉢を見れば、火が小さくなっている。

 呉羽は烏丸を己の袿の前で包み、緩慢な動作で立ち上がると、火鉢に炭を足した。
 黙って火箸を動かす呉羽を、烏丸は袿の中からじっと見る。

「お姉さん」

 何となく心配で、何か声をかけようとするが、何を言えば良いのかわからない。
 烏丸が困っていると、不意に呉羽が顔を上げた。

「・・・・・・また降ってきた」

 雪が、ちらちらと舞っている。
 しばらく雪を眺め、呉羽はぽつりと呟いた。

「女官殿は、そはや丸のことが好きなのか」

 そして、ちらりと抱いている烏丸を見る。

「お前も、そんなこと言っていたね」

 こくんと、烏丸は頷いた。
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