妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「あのね、世間では、ていうか、お姉さんみたいな術者じゃない人たちってのは、接吻するのは、好いた相手とだけなの。だから、そはや丸がほたるさんに妖気を送り込むときに、ほたるさんは誤解しちゃったのね」

 烏丸は子供だが、ヒトではない。
 一人前になるまでに時間がかかるだけで、通常のヒトよりは長く生きているのだ。
 色恋に疎い呉羽などよりは、よっぽど男女のこともわかっている。

「接吻されただけで、世間の女子というものは、簡単にそいつに心奪われるのか」

「そういうわけでも、ないんじゃない? ほたるさんはさぁ、あの通り、気位が高いでしょ。そはや丸みたいな態度をされると、返って気になるものなんじゃない? 今までそれなりの身分の人にしか、偉そうな態度は取られなかったところに、遙かに身分の低い人から、威圧的な物言いされるのが、何か新鮮だったんじゃないかしら」

「・・・・・・わからんな。そんなこと、腹が立つだけのように思うが」

「そうねぇ、好みの外見だったんじゃない? そはや丸は、不細工じゃないでしょ?」

 ん~、と、羽を頬(?)に当てて、烏丸が言う。
 呉羽も同じように、首を傾げて考えた。
 そはや丸の外見を思い浮かべてみる。

 が、そもそも男嫌いな呉羽だ。
 当然好みなどというものもない。
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