妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「それ、以前そはや丸にも聞かれたな・・・・・・」

 そういえば、そはや丸はどこに行ったんだろう、と思いながら、呉羽は呟いた。
 いつの間にか、外は薄暗くなっている。

 呉羽は立ち上がって、簀の子の釣り灯籠に灯を入れた。
 ふと簀の子の先を見ると、そはや丸が刀の状態で転がっている。

「そはや丸・・・・・・?」

 手に取ると、外気と同じ冷たさが感じられた。
 ずっとここにいたのだろうか。

「・・・・・・ずっと刀でいるなんて、珍しいな」

 ほたるに会ったらややこしいから、刀でいたのだろうか、と思いつつ、呉羽はそはや丸を持って、部屋に戻った。

「お姉さん。そはや丸に、そんなこと聞かれたの? 凄いこと聞くねぇ、そはや丸も」

 烏丸が、ちょんちょん、と飛び跳ねながら、呉羽を追う。
 呉羽はそはや丸を置くと、厨に入った。
 残っていた米に水を足し、お粥を作る。

「・・・・・・お姉さん、おいら、全然普通の食べ物でもいいんだけど」

 烏丸が来てからというもの、ずっとお粥続きだ。
 右丸の身体から出たばかりの自分を気遣ってのことかと思い、烏丸は鍋を覗き込んで言うが、呉羽は、ん? と首を傾げた。
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