妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「普通? 別にお粥だって普通じゃないか。お粥にしたほうが量が増えるから、お得なんだよ」

 あ、そういうことなのね、と烏丸は、ちょっとがっかりしながら、ちらりと部屋のほうへと目をやった。

「ねぇ。そはや丸が平気なんだったら、右丸はどう?」

 干し魚や漬け物を載せた膳を部屋に運んでいた呉羽は、黙ったまま座った。
 その後から烏丸が、うんしょ、うんしょ、と粥の入った鍋を運んで、ふらふらと飛んでくる。

 小さなお椀に、お粥と煮干しを入れ、呉羽は己の横に置いた。
 烏丸と、いただきます、と手を合わせて、箸を付ける。

「そういや右丸が、何か言ってたな」

 ぽりぽりと漬け物を囓りながら、呉羽が言った。

「・・・・・・右丸かぁ・・・・・・」

 独り言のように呟き、ずずっとお粥を啜る。
 烏丸は、そんな呉羽をちらちら見つつ、お椀に顔を突っ込んでいた。
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