妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
 真夜中。
 呉羽は暗闇を睨んでいた。

 すぐ隣ですやすやと寝息を立てる烏丸を起こさないよう、そっと起き上がり、衾を抜け出す。
 枕元に置いた刀に手をかけた。

「そはや丸・・・・・・」

 思わず口から呟きが漏れる。
 何故だか落ち着かない。

 烏丸に言ったように、夜そはや丸が刀になるのは、いつものことだ。
 寝ているときは呉羽も無防備になるため、万が一のための、護身用だ。

 今までずっとそうだった。
 なのに何故、今はこんなに落ち着かないのだろう。

 刀を掴んだまま、じっと呉羽は待ってみた。
 が、そはや丸は沈黙したまま。

 きゅ、と唇を噛み、呉羽はそはや丸を、枕元に戻した。
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