妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
第五章
「お姉さんったら」
いきなり袖を引っ張られて、呉羽は我に返った。
「そっちじゃないでしょ。一条のほうは、あっちよ」
ばさばさ、と羽ばたき、呉羽の袖を咥えた烏丸が言う。
「あ・・・・・・悪い」
踵を返し、呉羽は本日の依頼主の元へと急ぐ。
が、どこかぼんやりとしているため、先程から何度も道を間違えている。
「もぉ~、大丈夫なの?」
ばさ、と呉羽の肩に乗り、烏丸は呉羽を覗き込む。
ほたるらが屋敷に来てからしばらくは、依頼が立て続けに入った。
余計なことを考えずに済んでいいや、と思っていた呉羽だが、やはり何だか落ち着かない。
ちゃんとそはや丸は腰にあるし、依頼をこなすときも、特に斬れに鈍りはない。
だが---。
あれから、そはや丸は、一度も人型を取っていない。
依頼が立て続けだから、刀に戻っていたほうが楽なのだろうと、今のところは思っているが・・・・・・。
いきなり袖を引っ張られて、呉羽は我に返った。
「そっちじゃないでしょ。一条のほうは、あっちよ」
ばさばさ、と羽ばたき、呉羽の袖を咥えた烏丸が言う。
「あ・・・・・・悪い」
踵を返し、呉羽は本日の依頼主の元へと急ぐ。
が、どこかぼんやりとしているため、先程から何度も道を間違えている。
「もぉ~、大丈夫なの?」
ばさ、と呉羽の肩に乗り、烏丸は呉羽を覗き込む。
ほたるらが屋敷に来てからしばらくは、依頼が立て続けに入った。
余計なことを考えずに済んでいいや、と思っていた呉羽だが、やはり何だか落ち着かない。
ちゃんとそはや丸は腰にあるし、依頼をこなすときも、特に斬れに鈍りはない。
だが---。
あれから、そはや丸は、一度も人型を取っていない。
依頼が立て続けだから、刀に戻っていたほうが楽なのだろうと、今のところは思っているが・・・・・・。