妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「ああ外法師様」
依頼主に呼び止められ、ようやく呉羽は、またどこぞにふらふら行ってしまいそうな思考を覚醒させた。
仕事中は、ぼんやりしていては命取りだ。
しっかりしなければ、と気合いを入れ、依頼主の話を聞く。
依頼は娘が猫又に取り憑かれたというものだった。
「猫が猫又になることはあっても、人に取り憑いたりするものですかねぇ」
「いやいや、ほんに本当のことで。娘は最近嫁いだのですがね、どうやらその婿殿に懸想していた別の女が可愛がっていた猫ってのがおりまして。その猫に対して、こう、恨み言を吹き込んでいるうちに・・・・・・」
「はぁ・・・・・・」
何となく、気分の優れないときに聞きたい話ではない。
呉羽は僅かに顔をしかめた。
「で、その猫が猫又になって、夜な夜な娘を苦しめているのです」
「・・・・・・憑いているというのは、そういうことですか」
ただ嫌がらせにくるというだけなら、その猫が来た時点で退治すればいい。
簡単ではないか、と思った呉羽だったが、依頼主は、う~ん、と難しい顔をした。
「いやぁ・・・・・・。猫が来るわけでは。娘の様子が、おかしくなるのですよ」
え、と顔を上げた呉羽に、依頼主は怯えた様子で声を潜める。
依頼主に呼び止められ、ようやく呉羽は、またどこぞにふらふら行ってしまいそうな思考を覚醒させた。
仕事中は、ぼんやりしていては命取りだ。
しっかりしなければ、と気合いを入れ、依頼主の話を聞く。
依頼は娘が猫又に取り憑かれたというものだった。
「猫が猫又になることはあっても、人に取り憑いたりするものですかねぇ」
「いやいや、ほんに本当のことで。娘は最近嫁いだのですがね、どうやらその婿殿に懸想していた別の女が可愛がっていた猫ってのがおりまして。その猫に対して、こう、恨み言を吹き込んでいるうちに・・・・・・」
「はぁ・・・・・・」
何となく、気分の優れないときに聞きたい話ではない。
呉羽は僅かに顔をしかめた。
「で、その猫が猫又になって、夜な夜な娘を苦しめているのです」
「・・・・・・憑いているというのは、そういうことですか」
ただ嫌がらせにくるというだけなら、その猫が来た時点で退治すればいい。
簡単ではないか、と思った呉羽だったが、依頼主は、う~ん、と難しい顔をした。
「いやぁ・・・・・・。猫が来るわけでは。娘の様子が、おかしくなるのですよ」
え、と顔を上げた呉羽に、依頼主は怯えた様子で声を潜める。