妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「よく言うでしょ。夜になったら、行灯の油を舐めるとか」
「・・・・・・舐めるのですか」
こっくりと、依頼主が頷く。
「猫の声で鳴いたり、生魚を貪り食ったり」
「腹が減っていた、ということでは?」
「ヒトが、行灯の油を舐めますか?」
まぁそうですね、と呟き、呉羽は依頼主の屋敷に入り、母屋に回った。
身なりはそう良いわけではなかったが、なかなか裕福そうだ。
下級貴族といったところか。
「娘の部屋は、あれに」
敷地の隅の離れを指され、呉羽はそちらに目を向けた。
離れとは名ばかりの、納屋のような小屋がある。
「・・・・・・あのようなところに?」
顔をしかめてみせると、依頼主は目を逸らした。
「可哀相ですが、何分気味が悪くて・・・・・・。いつこちらに襲いかかるかもわかりませぬし」
世間体もあるのだろう。
呉羽はそんな依頼主から視線を切り、離れに近づいた。
傍に近づくにつれ、空気が冷える。
周りに生い茂った木々のせいだけではない。
「・・・・・・確かに、結構厄介かもしれませぬな」
「・・・・・・舐めるのですか」
こっくりと、依頼主が頷く。
「猫の声で鳴いたり、生魚を貪り食ったり」
「腹が減っていた、ということでは?」
「ヒトが、行灯の油を舐めますか?」
まぁそうですね、と呟き、呉羽は依頼主の屋敷に入り、母屋に回った。
身なりはそう良いわけではなかったが、なかなか裕福そうだ。
下級貴族といったところか。
「娘の部屋は、あれに」
敷地の隅の離れを指され、呉羽はそちらに目を向けた。
離れとは名ばかりの、納屋のような小屋がある。
「・・・・・・あのようなところに?」
顔をしかめてみせると、依頼主は目を逸らした。
「可哀相ですが、何分気味が悪くて・・・・・・。いつこちらに襲いかかるかもわかりませぬし」
世間体もあるのだろう。
呉羽はそんな依頼主から視線を切り、離れに近づいた。
傍に近づくにつれ、空気が冷える。
周りに生い茂った木々のせいだけではない。
「・・・・・・確かに、結構厄介かもしれませぬな」